ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

月刊GCJ 2016年9月号

結果として商品が売れるというサイクルにつながるということもあり、女性をターゲットにした商品開発、マーケティングが活発化している状況なのです。 それからマネージメントも一昔前であれば、リーダーに従うという統率型の組織でしたが、今は一緒に伴走し、サーバント型で奉仕・支援しながらのマネージメントのスタイルに変わってきています。そのように、女性の感性や仕事のスタイルを経営に活かしていかないと、市場で生き残っていけない状況にあると言えます。しかも、ダイバーシティを進めている企業は、結果として業績も良く株価も高い傾向にあるというデータも出ています。ですから、女性を活用していかないと、経営戦略上乗り遅れることは必至です。編集部 確かに大手企業ではそのような状況下かもしれませんが、印刷業界の中小企業では、まだそこまで考えている経営者は少ないと思いますが……。森本 印刷業界に限らず、確かに女性は事務職という先入観念を、まだ持っている経営者は少なくないと思います。それは、リアルに今の管理職の奥様のほとんどが専業主婦ということで、女性が働いて活躍するというイメージが湧かないということもあるか高まっており、人材紹介の依頼を受けますね。編集部 そうですか。幹部候補の女性はどこから探してこられるのでしょうか?森本 様々な業界の幹部クラスの女性の方々と日常的に接点があり、当事者となるケースと、場合によってはご紹介をいただきながらご縁を紡いでいくケースがあります。そもそもなぜ、女性の人材を求めているかと言えば、今後、労働人口が目に見えて減っていきますので、足りない労働力をどう補うかということから女性を求めるわけです。新たな労働力と言えば、女性、シニア、外国人の3つの選択肢ということになりますが、その中で施策の実効性の可能性が最も高いのが女性ですから、企業としては労働力の確保として女性を求めるわけです。 それから、データにも出ていますが、家庭で商品やサービスを購入する場合の意思決定は主婦が握っています。また女子高生もしかりです。女子高生がヒットやブームの火付け役になることは多々あります。とにかく女性にフォーカスしてマーケティングしていくことが経営戦略・商品戦略上、必至となっています。企業が女性の心理がわかる当事者の女性を求めるのは理に適っています。女性が火付け役となってムーブメントを起こしてくれたら、もしれません。また、印刷会社でしたら、クライアントの納期に対応しなければならない業界特有のルールもありますよね。女性が夜遅く、校正刷りや印刷物をクライアントに届けたりするのには、抵抗があるかもしれません。それに女性社員からすれば、営業職に就いた場合に、続けていけるのか不安になるのも仕方ないでしょう。そのように、ハードワークという面で比較的厳しい仕事を女性から遠ざけてきた側面もあるでしょう。編集部 女性に長く働いてもらって活躍してもらうためには、最初に何をすれば良いと思われますか?森本 まずは経営者が本気でそう思うことですね。経営者が改革していく重要性を心と体で感じてもらうことが先決です。ダイバーシティに本気で取り組んでいくんだというマインドにセットすることでしょう。 次に、女性の人たちが本当に必要だと思われるルールや制度の整備が望まれます。それから、ワーキングマザー同士のチームを作って仕事を進めてもらうのは、有効な手段だと思います。子供が熱を出した時に、職場では帰宅するのを言い出すことに躊躇してしまうのですが、それが同じお母さん同士であれば、お互いさまということで言いやすいわけです。結婚・出産するまでにキャリアを積めるようにしておく編集部 それから、将来のために女性のリーダーを増やしていく方法も考えていく必要があると思うのですが……。森本 ええ。しかし、結婚し出産した後で、マネージャーや管理職に就くよう言われても、子育てをしなければならない上に、初めての管理職ということで、非常に高いハードルになってしまいます。躊躇してしまうのは仕方ないと思います。ですから、出産する前の比較的自由な時間がある時期に、キャリアを積んでおいて、管理職を目指せるようにしておくことは非常に大事な施策だと考えています。 リーダーや管理職を一時体験しておけば、どんなことが大変であるかが解っているので、産休をとって会社を一時離れた後で戻って来ても、問題なく仕事に就けますし、改めて管理職として頑張っていこうという気持ちにもなれます。大事なことは結婚し出産するまでにいかにキャリアを積んでいくかということです。編集部 会社は女性にキャリアを積んでもらうための施策を推進していく必要があるというわけですね。森本 そうですね。少し早い段階から3 2016 September